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「ビンラディン容疑者に“褒められた”米国人」という記事

アメリカは独善的で尊大だ。キリスト教の「愛」のもと、価値観の多様さを寛容に受け止める建前を持ちながら、本音は「自国の都合と合理性」により、力づくで世界中をフォーマットしようとする。価値観の異なる相手に対する礼儀を知らずに、自国の合理性を一方的に正義と銘打って押しつけるから、問題がこじれるのだ。

日本政府(吉田茂)は、心の底にある自国の誇りを「したたかさ」に変えて、戦後の日本経済と安全保障をアメリカに依存する道を選択した。そのおかげで多くの国民が豊かな生活を享受出来るようになれた。その代償として、政府(自民党)は好む好まざるに関わらずアメリカの言い分に従わざるを得なかった。若者は学生運動を展開して抵抗したが、最終的には「大人になって」、この選択を受け入れた。それでも、「頭を下げて実を取り」、割り切った気持ちで均衡を保つことで現在に至った。そして、そのベースには、「耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍ぶ」という、終戦を呼びかける天皇陛下のお言葉があって、それを了解して忠実に守ったのだ。

けれども、それが出来たのは奇跡だったのではないだろうか?

普通は耐え切れずに逆ギレするのではないだろうか?
アメリカは戦後の対日戦略の成功体験を引きずっているのではないだろうか?
フセインやビンラディンが、「耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍ぼう」などと、国民やイスラム原理主義者に呼びかけられるだろうか?仮に呼びかけたとしても、それで沈静化するだろうか?
イスラエルとパレスチナのように、指導者が内輪に殺されてしまうのではないだろうか?
一方で、逆ギレした人を力づくで押さえつけられるものだろうか?
普通は出来ないと思う。こじれるだけだ。仮に表面的に押さえつけられて沈静化しても、相手には「恨み」が残り、問題を根深くさせるだけだ。

オレは、そういう配慮を簡単に割り切って、何でも自分の合理性と力づくで事を済まそうとするアメリカが嫌いだ。いったい、そこに「愛」があるのか?隣人を愛しなさいというのは、キリスト教の教えじゃなかったのか?


ビンラディン容疑者に“褒められた”米国人

 長引く「テロとの戦い」で低迷一途の支持率を盛り返すため、首席補佐官の交代にまで追いつめられたブッシュ米大統領。その米国で、ある外交批判本の著者が、にわかに脚光を浴びている。対テロ戦争の仇敵(きゅうてき)、ウサマ・ビンラディン容疑者が、著書を“ベタ褒め”したのがきっかけだ。あまりに皮肉な図式は、テロとの戦いに揺れ動く米国世論の一断面を映し出してもいる。(ワシントン・小栗康之、写真も)
 カード氏からボルテン氏へ、大統領首席補佐官の交代による人事刷新をブッシュ大統領が発表する前の三月中旬。米CNNテレビなどの調査で、大統領支持率は過去最低レベルの36%に落ち込んでいた。テロとの戦いに勝利し、テロ支援などの「ならず者国家」をすべて民主化することが、結果的に米国を狙うテロリストを一掃し、米国の安全保障につながる-。大統領のこうした主張も泥沼化するイラク情勢を前に、国民への説得力を失いつつある。
 米ワシントン在住の歴史家、ウィリアム・ブルム氏(72)の主張は、大統領とは逆だった。
 「米国こそが、ならず者国家であり、干渉をやめればテロはなくなる」「テロリストは米国の横暴な外交政策がつくったのではないか」などと指摘する著書は、その名も「ならず者国家」(日本語版名「アメリカの国家犯罪全書」=作品社)。二〇〇〇年に出版した。
 今年一月十九日。それまで死亡説も出ていた国際テロ組織「アルカイダ」の指導者、ビンラディン容疑者は、中東の衛星テレビの録音放送を通じ、一年ぶりに音声を発した。「作戦は準備中だ」と米国への新たな攻撃も警告した声明の中で、著書「ならず者国家」の名前は飛び出した。
 「米国民はこの本を読むといい。もし、自分が米大統領になったら、米国は世界の国々に干渉しないと宣言する、と書いている」
 ニューヨークでポーランド移民の家に生まれ、国務省職員、アングラ雑誌記者などを経験後、著作活動に入った無名のブルム氏は、この一言で時の人になった。
 「ビンラディンのおかげでヒーローになった感じ。近所じゃ、自分のことを作家だと知らなかった人もいるから」と自宅アパートで語るブルム氏。「あのビンラディンに褒められた米国人」と、米メディアはこぞって取り上げた。インターネット書籍販売の全米注文ランキングで「ならず者国家」は声明の前、二十万五千七百六十三位だったが、声明による“宣伝”の後、二十六位にまで跳ね上がった。
 「みんなビンラディンに褒められて気分悪いだろ、と言うが、悪い気はしない。自分は米国の帝国主義的な振る舞いを止めたい。今回の件で自分の意見を米国世論に訴えることができた」と、ブルム氏は満足げだ。
 しかし、この人気は必ずしも、ブルム氏の主張に対する支持表明だけではない。「声明後の一週間で千通を超えるメールが届いた。半分は支持、半分は私を嫌っていた。脅迫もあった」という。
 国民の間で反戦機運の盛り上がりは確かに目立つが、十一月に中間選挙を控えた政界では、共和党、民主党ともイラク駐留米軍の撤退などで政治的な「弱腰」を見せたくはない。だから大統領も対テロ戦争から引くことなく、人事刷新などで国民を説得し、難局を乗り切ろうと図る。
 複雑に揺れる国内の空気の中で、ブルム氏が投じた「反ブッシュ」の一石。まずは、背後のビンラディン容疑者の影に興味交じりの人気が先行した形だが、米国世論の深層はこの政権批判をどう受け止め、今後の「テロとの戦い」にどう響いていくか。さらなる波紋の行方が注目されている。

by darkmind628 | 2006-04-05 17:36  

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