今の状況だと、岡田サンでは衆院選に勝てないが、鳩山サンでは負ける。どのみち民主党に風は吹かない。それがオレの印象だ。自公与党が良いとは思わないが、このまま行くと与党の思惑通りになり、衆院選の投票率がさほど上がらない気がする。組織票と年寄りの保守票で決まってしまう。風が吹かずに浮動票が民主党に流れ込まないと、政権交代は厳しい。
小沢サンはプロの選挙屋であり、政局好きな政治屋だから、組織票や田舎の保守票を固めるのは巧い。だが、そこに小沢サンの矛盾と限界がある。組織票や保守票の取り合いだけでは逆転できない。風を吹かせないと与野党逆転できないのに、小沢サンは風を吹かさずに組織票と田舎の保守票で勝つ戦術しか出来ない人だ。だから、小沢サンは自民党を追い詰めても、追い越せない。そこに矛盾があるのだ。挙句の果てに自爆したのだから、どうしようもない。
俺が民主党なら、風を吹かせるしか勝ち目がない、と考える。
そのためには、若年層や都市部の投票率アップをめざして、民主党に流れ込ませるしかない。だから、対立軸を敢えて「若年層と現役世代の救済」と「高齢者の逃げ切り人生」に据えて、前者を鮮明にさせる。このままでは、高齢者の都合で物事が決まり、高齢者の莫大なツケを若年層が払うことになり、お先真っ暗になる、という危機感を徹底的に煽る。
かといって、高齢者を冷酷に切り捨てるのではなく、心ある高齢者の掘り起こしを狙って、子や孫への禅譲を訴求する。「お互いに皆の事を思いやる」政策を重視し、「自分の事しか考えない人には圧力をかける」、と明言する。だが、こういう物言いが出来る政治家が民主党の中にいない。かつて都市部で風を吹かせるのは菅サンが得意としていたが、扇情的な与党の揚げ足取り一辺倒の旧い市民運動的アジテーションは、もう古い。いずれにせよ、票が読めて堅実でも勝てない戦術で負けるなら、勝ち目のある賭けをすべきだ。
ついでに言わせてもらうと、日本のためには衆院選後に「大連立」するしかない。
何故なら、自民党が勝っても2/3を取れないのは確実だから、参院とのねじれが解消しない以上、むしろ国会運営は停滞する。党利・党略・政争・政局の毎日で、何も決められない国になってしまう。これは致命的だ。かといって、民主党が過半数を取れば良いとは思えない。同床異夢の選挙互助団体である民主党は、政策で奇麗事を並べ過ぎている。選挙が終わり次第、バックリと党内が割れるだろう。官僚政治から決別すると言うが、官僚相手に喧嘩を売って、膨大な政策運営が実行できるとは思えない。かつて田中真紀子が外相をやった時に外務省が混乱したのと同じようになる。自ずとマニフェストという「絵空事」の現実も露呈して党内が混乱する。マスコミが囃したて、国民は失望する。党内運営が破綻するかも知れない。国会以前の所でグチャグチャだ。
政界再編は、現実味が乏しい。選挙後に解党的な再編をすれば、それで出来た新たな党派に対する国民の信を問うのが筋論だが、総選挙が続けば政治空白が長引き国際社会の信任を失う。しかも、地方県連など全国組織になっている各党の組織の再編が一気に出来るわけがない。
残る道は「大連立」だけだ。大連立には、国会運営がスピーディになるという期待感がある。国会運営の駆け引きで停滞する状況を避けられるかも知れない。だが、物事の決め方が密室化する恐れがある。おそらくマスコミの餌食になって盛大に批判されることだろう。ただ、何も決まらない状況よりはマシだし、マスコミに騒いでもらうことが衆人環視になり、与党の暴走に対する一定の抑止力になるはずだ。それでも俺は何も決められない衆愚政治のような状況より、ずっとマシだと思うのだ。
岡田サンの印象
岡田サンは堅過ぎて、暗過ぎる。世の中は、たとえ筋が通らなくても憎めない人に大勢がついて行く事が多々ある。一方では、いくら理詰めで正論を諭されても賛同する気になれない人がいる。岡田サンや前原サンは後者の印象だ。堅実で真面目そうな印象を与えるから、他の候補がワキの甘さで自滅したとき消去法で岡田支持に票が流れて来るだろうが、それ以上でない。相手の失点が無いと光れない人なのだ。蛍光塗料みたいなものだが、場を明るく照らせないのが岡田サンの限界だ。
岡田サンは、世の中の不条理を受け止めて、人に頭を下げて事を成した経験が乏しいのだろう。現に、小泉サンの郵政選挙で民主党代表として何も出来ずに惨敗し、党内もコントロール出来ずに辞めたのだ。いまだに小泉サンの手口を愚痴っているが、世の中は不条理なのだ。不条理の中に真理と現実の力学があって、それを踏まえて国益と国民の安泰をもたらすのが政治の現実だろうと思う。
鳩山サンの印象
一方、鳩山サンは「イイ人」であることを印象づけようとしているようだ。昨夜は、いくつかのニュース番組に出演して「愛」というキーワードを何度か発していたが、大河ドラマの影響なら、かなりミーハーで軽薄だ。
そもそも「愛」とか「やさしさ」など、耳心地の良い情緒的な言葉は、言葉に応じた行動の結果が誰からも認められてから第三者が使う表現であるべきで、行動する前に自ら言っても胡散臭く思われるだけだ。しかも、国民全員に愛を振りまく事が現実的に思えないから、ますます胡散臭い。
いずれにせよ、同床異夢で寄り合い所帯の選挙互助団体みたいな民主党で、代表選出後の挙党一致を演出して、衆院選で国民の支持を得るには、「イイ人」にならざるを得ないのだろう。
だが、立場が高くなるほど、責任が重くなるほど、「イイ人」では務まらなくなる。誰に対してもイイ人になるというのは、すなわち八方美人になるということだ。自ずと言うことが中途半端になり、誰から見ても解りにくくなる。
例えば、小沢サンの院政や傀儡政権になる、という指摘に対して、鳩山サンは、小沢サンの功績を踏まえて最大限の配慮をしているが、庶民にしてみれば理屈じゃない。小沢アレルギーで腫れている時には、とにかく安静にして触らないのが最善なのだ。鳩山サンが、いかに筋の通った言い方をしても、小沢さんをイメージさせた時点で、世論は鳩山サンに拒否反応を示す。だからこそ、小沢サンに対して「イイ人」である事を捨てて、小沢サンを徹底的に排除するのが国民のベースラインだ。
何しろ、だいぶ前だが小沢サン自身が「衆院選は最後の闘い。負けたら政界引退」と言った覚えがある。まだ自民党に負けたわけじゃないから引退する理由が無いと言うだろうが、もし秘書が逮捕されて同じ状況にある与党議員がいたとすれば、鳩山サンは間違いなく議員辞職を声高に叫ぶはずだ。そういう、庶民感覚の期待値に満たない対応をするから、小沢サンをフォローするほど国民の支持を失うことになるだろう。
未定票獲得で攻防激化 午後に討論会、民主代表選
2009年5月15日 06時06分
民主党代表選は15日、鳩山由紀夫幹事長が過半数を目指し、多数派工作を展開。岡田克也副代表もマスコミの世論調査での優位を背景に「選挙の顔」を問う戦いに持ち込みたい考えだ。両陣営は参院を中心に態度未定の国会議員に対する働き掛けを続行、攻防は激化している。両氏は午後、日本記者クラブで開催される公開討論会で初対決。その後、東京・有楽町で、街頭演説会に臨む。
鳩山氏を岡田氏追い上げ 参院の動向が鍵
2009年5月14日 20時31分
民主党代表選は14日、鳩山由紀夫幹事長と岡田克也副代表が立候補を正式表明、攻防が活発化した。鳩山氏が小沢一郎代表系グループなどの支持を受け参院で優勢、岡田氏が中堅、若手を中心に衆院で勢いを見せ、追い上げる情勢が続いている。16日の投開票に向け態度未定の議員が多い参院の動向が勝敗の鍵となる。対応が注目されていた、菅直人代表代行に近いグループは自主投票を決定した。
政権交代へ「全員火の玉となって・・」と小沢氏
2009年5月13日 11時00分
小沢一郎氏の民主党代表辞任が5月12日の党常任幹事会で、満場一致で承認された。小沢氏は「衆議院総選挙が目前になっている。いま私が身を引くことで、挙党一致が強固になるとするならば、喜んで身を引く」と政権交代を実現するために辞職するに至ったことを強調するとともに、「全員火の玉になって総選挙にあたらなければならない」と政権奪取へエネルギーをひとつに結集して戦う必要を語った。
小沢氏は「挙党一致態勢の一員として、わたしも一生懸命に微力を尽くす」と決意を表すとともに、「民主党には官僚支配を打破し、国民サイドに立った政治を実現すること。日本に真の議会制民主主義を確立することの使命がある」と党として果たすべき責務についても明確にした。
御手洗冨士夫日本経済団体連合会会長は小沢氏の党代表辞任について「断腸の思いで決断されたのだろう」とし、「民主党には、新代表の下、今国会の重要議案について政府・与党と建設的に協議を行い、政策本位の政治を実現していただきたい」と政府・与党に対して政策本位での対応を期待した。(情報提供:エコノミックニュース 編集:福角t)
<民主党代表選>岡田氏も出馬表明、政権交代実現を強調
2009年5月14日 22時47分 ( 2009年5月15日 01時03分更新 )
16日投開票の民主党代表選をめぐって14日、鳩山由紀夫幹事長(62)に続き岡田克也副代表(55)が記者会見して正式に出馬を表明した。出馬を模索していた菅直人代表代行は同日、不出馬を表明。鳩山、岡田両氏の一騎打ちの構図が確定した。鳩山氏は自らを支持する党内グループ、小沢氏を支持するグループなど支持基盤が厚く、現状では優位とみられている。一方、自らのグループを持たない岡田氏は、世論調査での高支持率を背景に、中堅・若手を中心に個人レベルでの支持拡大を図っている。
岡田氏は14日午後、党本部で会見し「政権交代政治の実現」を目指して自民党を離党した経験を踏まえ「私でなければ政権交代できない」と強調。民主党代表を務めた05年衆院選マニフェストに掲げた年金制度の抜本改革などについて「何が何でも実現しなければならない」と述べた。
代表に就任した場合の小沢氏の処遇については、鳩山氏が「積極的な働きを期待する。選挙でしっかりした仕事をしてほしい」と選挙関連の要職に起用する考えを表明したが、岡田氏は「党には優秀な人材がそろっている。先輩に役職を言うのはせんえつだ」と具体的言及を避けた。岡田氏は一方で「全員野球でなければ政権交代できない」とも述べた。
鳩山氏が政治理念として掲げた「友愛社会の建設」に対し、岡田氏は「みんなの幸せを後押しする政治でありたい」と語った。
岡田氏はまた、基礎年金を保険料方式から税方式に変える年金改革の提言を昨年12月に超党派議員でまとめたことを強調。そのうえで「(提言を)ベースに議論して成案を得て税方式導入となれば、将来的に財源が必要だ」と将来的な消費税増税の必要性に言及した。
岡田氏の代表選出馬を巡り、小沢氏が強化してきた社民、国民新両党との野党共闘への影響が懸念されている点については「選挙協力を含めてそのまま踏襲したい」と述べた。【野口武則】